WordPressのユーザー権限とロールの編集・管理方法完全ガイド

複数のチームメンバーでWordPressサイトを構築するなら、適切なユーザー権限設定が欠かせません。権限を正しく割り当てることでサイトのセキュリティもしっかり確保できるわけです。 実際のオフィスと同じイメージで考えてみると分かりやすいでしょう。会社でもすべての部屋や機密情報にすべての社員がアクセスできるわけではありませんよね。
WordPressの管理パネルでも同じで、ロールを適切に設定することで各メンバーが仕事に必要な権限だけを持てるようになります。必要以上の権限を与えず、かといって必要な作業ができないストレスも与えない、そんなバランスが大切なのです。
本記事ではWordPressのさまざまなユーザー権限について詳しく解説し、チームメンバーへの割り当て方をマスターしていただきます。さらに、プラグインを使った権限のカスタマイズ方法も紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
WordPressユーザー権限とロールを理解する
「ロール」と「権限」は混同されがちですが、実は別物です。ロールはユーザーのアクセスレベルを定義するもの。一方の権限は、投稿の公開やプラグインのインストール、コメント管理など、WordPressサイト上で実行できる具体的な操作を指します。
ロールには一連の権限がセットになっているため、各メンバーに適切なロールを割り当てることで、以下のメリットが生まれます。
- セキュリティ強化 – 必要最小限の権限設定でWordPressサイトの不正変更やセキュリティ侵害リスクを大幅に減らせます
- タスク管理の最適化 – メンバーは自分の担当範囲に関連する作業だけに集中でき、混乱を防げます
- 作業効率アップ – 明確な権限設定によってワークフローが合理化され、各メンバーが本来の業務に集中できます
WordPressのデフォルトユーザーロールとは?
WordPressには基本的に5つのデフォルトユーザーロールが用意されています。さらにマルチサイト機能を有効化すると、「特権管理者」という追加のロールも利用可能になります。

それぞれのロールがどう違うのか、詳しく見ていきましょう。
1.購読者
購読者はWordPressで最も制限された基本ロールであり、公開された投稿の閲覧と自分のプロフィール管理しかできません。
このユーザーロールはメンバーシップ型のWordPressサイトを構築する場合に特に役立ちます。会員制サイトの一般ユーザー向けといったイメージです。
2.寄稿者
寄稿者のロールは自分のコンテンツを追加・編集できますが、公開権限はありません。投稿作成後は、管理者または編集者がチェックしてから公開する仕組みです。
一度きりのコラボレーションやゲスト投稿者など、限定的な関わりを持つ人に最適なロールといえるでしょう。
3.投稿者
名前の通り、投稿者はWordPressサイトのコンテンツを作成する役割です。寄稿者にはない権限(メディアのアップロード、投稿の作成・編集・公開・削除など)が与えられます。
ただし、自分のコンテンツ管理に限定されており、他のユーザーの投稿には手を加えられません。
ブログの専属ライターや定期的な寄稿者に最適です。
4.編集者
投稿者の上に位置する編集者は、WordPressサイトのコンテンツを管理するための高レベルの権限を持ち、コメントの承認、メディアライブラリの整理、ページ編集などが可能です。
ただし、編集者の権限はコンテンツ管理と他メンバーの作業監督に限られます。テーマやプラグインのインストール、更新承認、サイト設定の変更はできません。
コンテンツマネージャーやチームリーダー、上級ライターにぴったりのロールです。
5.管理者
管理者のロールは階層のトップに位置します。ユーザー管理からWordPressサイトの重要な設定まで、サイトのあらゆる側面を完全にコントロールできる権限を持ちます。
新しくWordPressサイトを立ち上げると、このロールが自動的にサイト所有者に割り当てられます。
6.特権管理者
WordPressのマルチサイトネットワークを使用する場合に登場するのが特権管理者のロール。通常の管理者と似ていますが、その権限がマルチサイト全体に拡大されるため、「特権」という名称が付いています。
特権管理者はネットワーク内でのサイト追加・削除、テーマやプラグインのインストール、コンテンツ整理などを行う権限を持ち、ネットワーク内のすべてのユーザーを完全に管理できます。
プラグイン関連のユーザーロール
WordPressのプラグインを使えば、WordPressサイトの機能を大幅に拡張できます。プラグインによっては、有効化すると独自のユーザーロールが追加されることもあります。ここでは、代表的なプラグインと、それらが提供する特別なロールを見ていきましょう。
WooCommerce(ECサイト機能を追加)
- カスタマー – オンラインストアでアカウントを作成した新規ユーザーに自動的に割り当てられます。このロールでは、自分のアカウント情報の編集や注文履歴の確認ができますが、それ以上の権限はありません。
- ショップマネージャー – 商品ページの管理や売上レポートの確認など、ECサイトの運営権限を持ちますが、WordPressサイトのコアファイルにはアクセスできません。管理者の権限を与えたくない運営スタッフに最適です。
Easy Digital Downloads(デジタル商品販売向け)
- ショップベンダー – 商品の作成と編集だけができるロールです。商品を削除する権限は持っていないため、出品者専用のロールとして安心して使えます。
- ショップワーカー – 商品、カテゴリー、タグの編集・作成ができます。注文履歴も確認できますが、売上分析などのデータにはアクセスできない仕様になっています。
- ショップアカウンタント – 注文履歴とストアフロントの分析ダッシュボードを閲覧できるロールです。収益、ダウンロード数、顧客リストなどの重要データにアクセスできるため、経理担当者に最適です。
- ショップマネージャー – WordPressの編集者のロールに自動的に設定され、さらにEasy Digital Downloadsのすべての機能に完全にアクセスできる強力な権限を持ちます。
Yoast SEO(検索エンジン最適化向け)
- SEOエディター – Yoast SEOのメタボックスへのアクセスとリダイレクト管理ができますが、サイドバー設定は見えない設計になっています。コンテンツのSEO調整に集中できるロールです。
- SEOマネージャー – WordPressサイトのすべてのSEO設定を完全にコントロールできる権限を持ちます。
SliceWP(アフィリエイトプログラム構築向け)
- アフィリエイト – このロールをアフィリエイトパートナーに割り当てると、専用ダッシュボードで紹介訪問数、発生コミッション、支払い状況などを確認できるようになります。
ユーザーロールの割り当てや変更方法
WordPressでのユーザーロール管理はとても簡単です。ただし、これらの操作は管理者の権限を持つアカウントでのみ実行可能なので注意しましょう。 新しいメンバーを追加する際のロール設定はとても簡単です。
- WordPressの管理パネルにログインし、サイドメニューからユーザー → 新規ユーザーを追加へ進みます。
- ユーザー名やメールアドレスなど、必須項目を入力します。
- 新規パスワードを自分で設定することもできますが、あえて設定せずユーザー自身に後から設定してもらうこともできます。
- 画面下部のドロップダウンメニューから適切なロールを選んで割り当てます。
- 最後に新規ユーザーを追加ボタンをクリックすれば完了です。

ポイント
他のユーザーに管理者の権限を与える際は特に慎重に!この権限があれば、WordPressサイトの設定変更はもちろん、最悪の場合はサイト全体の削除までも可能になってしまいます。信頼できる人にのみ付与するのが鉄則です。
すでに登録済みのユーザーのロールを変更したい場合は、以下の手順で行えます。
- WordPressの管理パネルのサイドメニューからユーザーを選択します。
- ユーザー一覧から、ロールを変更したいユーザー名にカーソルを合わせ、表示される編集をクリックします。

- プロフィール編集画面の名前セクション下部にロール設定があります。ドロップダウンメニューから新しいロールを選択しましょう。
- 変更が終わったらユーザーを更新ボタンをクリックして保存します。
ユーザーロールとWordPress権限の編集方法
デフォルトのロールだけでは物足りない場合、プラグインを使えばさらに詳細な権限設定が可能になります。
プラグインを初めて使う方へ
もしプラグインの導入に不安がある場合は、サポートセンターの WordPressのプラグインインストールに関する解説記事を参考にしてみてください。
既存のユーザーロールを自分好みに調整するのはとても簡単です。
- まずはMembers WordPressのプラグインをインストールして有効化します。
- WordPressの管理パネルのサイドメニューからMembers → ロールと進むと、現在のロール一覧が表示されます。
- カスタマイズしたいロール名にカーソルを合わせ、編集をクリックします。

- 詳細な権限設定画面が開くので、必要に応じて各機能ごとに許可または拒否のボックスにチェックを入れていきます。

- 設定が終わったら更新ボタンをクリックして変更を保存しましょう。
WordPressカスタムユーザーロールの作成方法
既存のロールの調整だけでなく、完全に新しいカスタムロールを追加することもできます。同じMembersのプラグインを使って以下の手順で作成できます。
- WordPressの管理パネルからMembers → 新しいロールを追加に進みます。
- 新しいロールに分かりやすい名前を付けます。
- 権限設定画面で、このロールに許可または拒否したい権限にチェックを入れていきます。
- すべての設定が完了したらロールを追加ボタンをクリックして作成完了です。


まとめ
WordPressサイトで複数のユーザーに適切なロールを割り当てることで、アクセス管理が簡単になり、タスクを効率的に分担しながらサイトのセキュリティも確保できます。ここまで学んできたWordPressのデフォルトユーザーロールをおさらいしましょう。
- 購読者 – 公開済みの投稿やコメントを閲覧するだけの、最も限定的な権限
- 寄稿者 – 投稿の追加・編集はできますが、公開する権限はなく、管理者の承認が必要
- 投稿者 – 自分の投稿に関しては、追加、編集、公開までの一連の作業が可能
- 編集者 – WordPressサイトのコンテンツ全体を管理できる高レベルの権限を持ち、他のメンバーの投稿も編集可能
- 管理者 – WordPressの管理パネルのすべての機能に完全アクセスでき、WordPressサイト全体をコントロール可能
- 特権管理者 – マルチサイトネットワーク環境での最高権限を持ち、複数のサイトを管理
上記のデフォルトユーザーロールに加え、プラグインを活用すれば独自のカスタムロールを作成することも可能です。
本記事がWordPressのユーザー権限の理解と効果的な管理に役立てば幸いです。質問があれば、下記コメント欄までお気軽にどうぞ。
WordPressユーザーロールに関するよくある質問
WordPressにはどのようなレベルのユーザーがありますか?
標準状態のWordPressでは、購読者、寄稿者、投稿者、編集者、管理者といった5つのデフォルトユーザーロールが用意されています。なお、マルチサイトネットワークを運用している場合は、さらに特権管理者のロールも利用可能です。
WordPressのユーザーは複数のロールを持つことができますか?
デフォルト設定では、ユーザーは同時に1つのロールしか持てませんが、MembersやPublishPress Capabilitiesなどのユーザーロール編集プラグインを導入すれば、1人のユーザーに複数のロールを割り当てることも可能になります。
WordPressで他のユーザーにアクセス権を与えるにはどうすればよいですか?
まず、この操作は管理者の権限を持つユーザーだけが実行できる点を覚えておきましょう。管理者アカウントでログインしたら、WordPressの管理パネルのサイドメニューからユーザー → 新規ユーザーを追加へ進みます。ユーザー名とメールアドレスを入力し、適切なユーザーロールを選択してから、新規ユーザーを追加ボタンをクリックすれば完了です。